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近江八幡SPCは不見識といわざるをえない。

近江八幡市の病院PFI契約が解除されたことを受けて、SPCの社長らが記者会見をして報道機関に対して、彼らの見解を述べています。この内容を見ると、首を傾げたくなる発言が多く見られます。報道されている範囲でのSPC側の発言について、私見を述べたいと思います。

「私たちは病院を直接ではなくサポート運営する立場。医業はわれわれの分野でない」
「当社に委託されている運営業務費用は、センター全体の16%にとどまる。」

 通常病院の支出の約50%は人件費であり、医療材料や医薬品などの外部購買品に対する支出が20%強を占めます。したがって、病院の支出の管理上残る支出(30%)をどう圧縮するかが重要となるのです。

 その残る部分の約半分をSPCが占めているということになりますから管理しなければならない支出のかなり大きな部分をPFI化することで、経費が固定化されたことになり、病院経営に重大な影響がある程度の数字です。
 このように、全体の支出に対して16%という数字のみを示すことで関与を低く示そうとするのは、病院経営について精通している人物の発言としては、何かの意図があるのか、あるいは病院経営について無知であるのかどちらかと考えざるをえません。

「建物の建設や維持管理、運営面は、市の要求に対し100%以上の成果を上げている」

 SPCの行う事業が適切であるかどうかを評価する基準は、最終的に市とSPCとの間で合意をすることが出来なかったと記憶しています。また、医療事務を請け負っていた会社の従業員が金銭を着服した事件が刑事事件化しています。
 このようななか、100%以上の成果を上げているというのは果たして何を言っているのか理解できません。根拠を尋ねたいものです。

「一床当たりの単価は二千五百万円で民間病院並み。災害拠点病院の機能も備えている」

 国立病院機構ですら、建築単価は1床当たり1500万円~2000万円程度としています。
 果たして、1床あたり2500万円という民間病院はどの病院でしょうか?それが、(~並みという表現で比較の対象となる)平均的な病院なのでしょうか?

「PFI方式の採用と経営難に因果関係はない」

 以上の発言から読み取れるように、病院のコアサービスである医療や病院事業全体の利益と、SPCの利益が分離しているためPFIを導入する時には相当に綿密に事業計画を立ててSPCのリスクと病院事業のリスクを同一化する必要があるのです。
 そうでなければ、このSPC社長の発言の用に、病院事業のリスクを放置し、営利企業としての目的である営利を追求することになるのは自然であり当然の帰結であると考えます。

 このような発言がされるSPCと契約を結んだことがPFI事業の失敗の一因であったという見方もできるでしょう。また、このようなSPCをコントロールできるだけの力量が地方自治体の側にも必要であるという見方もできるでしょう。

以下新聞報道より

PFI解約に調印 近江八幡市の医療センター

中日新聞【滋賀】
2008年12月26日

 PFI(民間資金活用による社会資本整備)方式で運営する近江八幡市立総合医療センターについて、市とセンター、運営主体の特別目的会社(SPC)「PFI近江八幡」は二十五日、事業契約を解約する合意書に調印した。SPCが担当している医業以外の運営は、来年四月から市直営となる。計画段階を含めて全国に十二あるPFI病院で契約解除は初めて。

 市役所で調印式があり、冨士谷英正市長、槙系(まきけい)院長、SPCの井谷守社長が出席した。

 冨士谷市長は「一つの山は越えられた。病院を未来永劫(えいごう)残すレールに乗れたと思う」と話した。井谷社長は「(契約通り)三十年間続ける思いだったが、市の財政事情を考えやむを得ず受け入れた。PFIシステムに問題はない」と強調した。

 調印により、事業計画は二〇〇九年三月末で全部解約される。市はSPCに違約金二十億円、建物の購入費百十八億円などを支払う。

 (松瀬晴行)
◆「方式と経営難因果関係ない」 SPC側が主張

 「契約解除の主な原因は、収支の現状と近江八幡市の見通しが著しく乖離(かいり)したことにある」

 調印の後、会見した特別目的会社(SPC)「PFI近江八幡」の井谷守社長と平山賢一取締役は、市立総合医療センターが経営難に陥った原因をこう説明し、「今後の病院PFI事業の推進に支障がないよう願いたい」と何度も訴えた。

 市のずさんな当初計画に加え、元本や金利の支払い計画の甘さも露呈した。

 市は毎年、当面必要がない大規模修繕費一億五千万円をSPCに支払っている。井谷社長は「民間が受け取っても税務上、利益となり課税される。だから『市で積み立てておいた方が得策』と提案したが、市側は均等払いにこだわり受け入れなかった」と明かした。

 運営面では「当社に委託されている運営業務費用は、センター全体の16%にとどまる。PFI方式の採用と経営難に因果関係はない」と強調。市長の諮問機関「あり方検討委員会」から「ホテル並みの超豪華建築」と批判されたことに対しては「一床当たりの単価は二千五百万円で民間病院並み。災害拠点病院の機能も備えている」と反論した。

 報道各社から「官と民の協働が感じ取れなかったが」「SPC側に責任はないのか」と追及されると、井谷社長は「私たちは病院を直接ではなくサポート運営する立場。医業はわれわれの分野でない」と主張。「建物の建設や維持管理、運営面は、市の要求に対し100%以上の成果を上げている」と繰り返した。 

 (松瀬晴行)

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