« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月

生駒市で 市立病院設置条例が可決されたそうです。

生駒市で市立病院を設置するために必要な市立病院設置条例が可決されたとのことです。この病院を巡っては、奈良県の医療審議会で病床配分が認められなかったり、生駒市の市議会で市立病院設置条例が継続審議とされてくるなど、様々な経緯を抱えて今回の条例可決に至っています。

市立病院が、実質的に市の医療ニードに応える医療サービスを提供できるように、早期に開院できることを祈っています。


生駒の新市立病院:曲折含みで容認 医師会、諮問機関に--設置条例修正可決 /奈良

 生駒市の新病院設立問題で、同市議会は23日、市が提出した市立病院設置条例案を一部修正し、賛成多数で可決した。病院設置にゴーサインが出たことになり、山下真市長は「設立に向け大きな前進」と語った。しかし、計画に反対している医師会代表らを入れた諮問機関「病院事業推進委員会」の設置が盛り込まれており、今後も曲折が予想される。

毎日新聞奈良版 2009/06/24

| | コメント (0)

福岡市こども病院がPFI事業断念したのは賢明な判断

昨日付け読売新聞九州版や毎日新聞九州版の記事によれば、福岡市はこども病院の移転新営事業でPFI方式の導入を断念し、地方債の起債で資金を調達し自営する方針を固めたとのことです。

建物の建築とメインテナンス部分に絞って、PFI事業を再検討しても、PFI事業とする利益が見出せないとの判断を福岡市がしたとのことで、堅実な検討を進めた結果結論を出されたものと思い、賢明な判断だと私は感じました。

病院事業でPFI方式を応用する場合の問題点については、2年ほど前より近江八幡市民医療センターの経営問題に専門的立場から同市の委員会に係わったことを契機に、広く訴えてきました。

講演で招かれた高知県での高知医療センターや、直接ご連絡をしたことはありませんが今回の福岡市こども病院の事例を通じて、病院事業でPFI方式を応用する場合の問題点について、理解が広まりつつあることに安堵を感じます。

PFIの問題だけではなく、海外からのうわべだけの概念導入で、現実のわが国の医療から解離した政策が推進されたり、また病院の経営者が惑わされることが繰り返されています。

病院の経営・運営をもっと、基礎的知識を踏まえて、合理的・科学的に行う風土が必要だということを、医療機関も行政もそして国民も知る必要があると感じています。

こども病院 起債で建設、福岡市がPFI見直し( 人工島問題)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/national/20090617-OYS1T00621.htm
 福岡市立こども病院・感染症センターを博多湾の人工島に移転する計画で、市は新病院の整備費について、約半分に民間資本を充てる当初計画を見直し、全額を市の起債で賄うよう検討していることを明らかにした。新病院の建設や運営に民間の資本や手法を活用するPFI方式を導入する方針だったが、建設については利点が小さいと判断した。(以下略)

毎日新聞九州版
http://mainichi.jp/seibu/news/20090617sog00m040004000c.html
(政府の談話部分)

市の方針転換について、内閣府PFI推進室は「全額を起債で賄うのなら、PFI方式とは言えない」と指摘。一方、起債を所管する総務省は「PFI的とみなし、交付税措置などは従来通り進める」と話し、病院建設に支障は出ない見通し。

| | コメント (2)

高知医療センターがPFI事業を解消する方向で協議している

先ほど報道機関から電話がありました。PFI事業で有名な高知医療センターでPFI事業としていた業務を、直営に切り替える方向で検討が進められていることが明らかになったそうです。

高知医療センターでは、事業計画で予定したPFIによる経費削減効果が得られず、経営状態が悪化していました。本日(6月16日)の共同通信のニュースによれば、今月8日PFI事業主体であるSPC(特別目的会社)から、PFI事業契約の合意解除の申し入れがされたとの事です。

PFIは普通30年程度にもわたる長期間の契約で、この間一定の支払いが続きます。ところが、病院の収入は医療保険制度の影響を強くうけ、長期的な予想は困難です。ですから、相当慎重な計画をしたうえで、変化に強い契約を考えておかなければなりません。PFIの先進国であるイギリスではこのようなことは数年前から問題化していますが、日本ではあまり知られていません。高知医療センターのPFI事業はこのような心配が現実になってしまったものと思います。

既に継続して述べてきたことの繰り返しになりますが、病院事業にPFIを導入するには、病院事業に関する十分な知識を踏まえた慎重で正確な事業見込み、適切な契約を締結するための、自治体側の十分な管理能力が必要です。果たしてこれらを満たすことが出来る地方自治体はどれだけあるのでしょうか。

-----------------------------------------------------------

NHK 高知放送局のニュースより

“医療センター運営から撤退”

公共施設の運営に民間の手法を生かすPFI方式で運営されている高知医療センターの病院企業団議会が16日開かれ、民間企業でつくる運営主体が、病院の運営から撤退する意向を企業団側に伝えてきたことが報告されました。
これを受けて企業団側は、来年4月を目標に病院の運営を直営化する方針です。
高知市の高知医療センターで開かれた病院企業団議会の臨時会には、議員14人が出席しました。
高知医療センターは県と高知市の2つの公立病院を統合した病院で、全国の公立病院で初めて民間のノウハウや資金を活用するPFI方式を導入し、民間企業でつくる「高知医療ピーエフアイ」が運営していますが、4年前の開業以来、赤字が続くなど厳しい経営が続いていました。
16日の臨時会で企業団の山崎隆章企業長が、高知医療ピーエフアイから早期の経営改善の1つとして「合意によるPFI契約の終了を議題として協議したい」と、病院の運営から撤退する意向を伝えてきたことが報告されました。

その上で山崎企業長は「合意による契約の終了は、経営改善につながる具体的な一歩を踏み出せると判断し、協議のテーブルにつくことにした」と述べ、秋ごろをメドにPFI契約の終了に基本合意して、来年4月を目標に病院の運営を直営化する方針を明らかにしました。

また協議にあたって、医療現場への影響や、患者の不安のないよう細心の注意を払って進める考えを示しました。
PFI方式による公立病院の運営は全国各地で導入されていますが、内閣府によりますと、高知医療センターでPFI契約が解消されれば、全国の公立病院では滋賀県近江八幡市の市立病院に次いで2例目になるということです。

これについて尾崎知事は「PFI事業契約の終了は経営改善の協力要請に応えていただいたものと受け止めている。企業団が直接的に業務を運営し、徹底した経費の削減に取り組むことで、経営改善が具体的に進むと考える」というコメントを発表しました。
これについて高知市の岡崎市長は「『PFI事業は材料費を減らす目標が達成できず、公共が行うより割高だ』と企業団は指摘してきた。マネジメント料などの諸経費を削減することで経営改善の取り組みが一歩前進すると考える」というコメントを発表しました。

議会の後、高知医療ピーエフアイの間渕豊社長が、報道関係者の取材に応じ、事業から撤退することを決めた理由について「急激な医療環境や医療政策の変化により早急な経営改善が求められるようになったが、実行するのは非常に困難だと判断した」と述べました。

その上で「経費削減だけでなく、収益を上げることについてももっと早く目を付けるべきだったと感じる。PFIに参画した企業の500人弱の従業員に非常に申し訳なく感じていて、出来るだけ支援していきたい」と述べ、従業員の再雇用の問題などについて企業団側と協議していく考えを示しました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

病院事業PFIでの施設・設備

病院事業をPFIで実施しようとする事例では、多くの場合、施設の新営や大規模改修と設備の更新を基礎として、それに様々な医療周辺サービスを組み合わせる場合が多く見られます。

病院の事業に要する費用を、大きく固定費部分と変動費部分に分けて考える場合、施設・設備費は固定費の大きな要素と普通は考えます。このため、施設・設備はPFI事業の存続期間永続するほど安定なものと思い込むのかもしれません。

現実には違います。病院事業にPFIの導入を検討する程度の規模の公的病院は、高度な医療を担います。このような医療機関では、たとえばMRIや時にはPETのような大規模で高度な設備を備えることが期待されます。また、良好な入院療養の環境も期待されます。

冷静に考えればわかることですが、今から30年前に、PETやMRIはほとんどありませんでした。MRIが普及し始めたのは、25年ほど前ですし、PETはさらに極最近です。これらの装置は、相当の施設整備を伴います。一ベッドあたりの床面積や、病室一室あたりの収容患者数など入院患者の療養環境を考えても、この30年間に社会的な要求水準、保険支払い上の基準が変化してきました。

PFIの契約期間は30年程度を想定する場合が多く見られますが、この30年間同じ建物で医療を提供し続けることはそもそも困難なのです。

地方自治体が建物を作る場合の費用見積もり方法には、民間で建物を作る場合とは異なった基準があり、これが建物のコスト高の原因の一つとなっています。この部分のコスト圧縮にはPFIは有益な手法ですが、PFI事業の対象となる建物がPFI契約期間の存続中そのままであるなどと考えることは合理的でないと、明確に意識しておかなければなりません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

福岡市立こども病院のPFI事業見直し

現在、国内で何件か病院事業でPFIを導入する検討が進んでいます。その中でも、福岡市立こども病院・感染症センターの移転に伴うPFI事業の推移については関心をもってみていました。

この度、福岡市はPFI事業の範囲を見直することを決めたと報道されています。福岡市は、医療周辺サービス部分のPFI化を見合わせることにしたようです。

PFI事業とする範囲を検討する場合、建築・設備管理部分にPFI事業を絞ることは、総費用を減少させることに役立つと最も期待される領域です。したがって、設備管理のどの範囲をPFI対象とするかなど、慎重かつ病院運営に関する専門的立場から具体的に検討した上で範囲を決定すれば、PFIを導入することの利益を地方公共団体が得ることが出来るかもしれません。

この件に関する報道の一部に、PFI事業全体の採算性に疑問が生じたとするものも見受けられます。このような報道を見ると、このこども病院移転事業とPFIの関係についてどの程度の理解をもって、報道機関が報じているのかを疑問を感じました。

そもそも、高度な小児医療サービスは押なべて不採算となる診療報酬体系になっています。このため、多くの公立の こども病院は累積赤字を抱えています。では、公立のこども病院はこの赤字を理由に廃止という判断をすることになるのでしょうか。

地方公共団体が高度な小児医療サービス提供する医療機関開設しているのは、このような医療は不採算であるために民間の医療機関に期待することが出来ないからです。地方自治体が、高度の小児医療サービスを担う病院(3次医療機 関)を運営するとした場合、その事業の採算性を考慮するのではなく、その事業が生み出す公共の利益と一般財源の負担がバランスするように、支出をどこまで軽減できるのかという視点で考えることになります。このことを十分意識しなければなりません。机上だけで独立採算が実現できる、非現実的な計画ではなく、求められる公共サービスとしての医療サービスとその費用の程度を現実的に見積もって、事業計画を立案する普通の判断が今福岡市に求められているように感じています。

今後の推移に、関心をもって見ていこうと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »