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読売新聞の取材に応えて

12月18日付け読売新聞で、近江八幡市のPFI契約解除について報道されていますが、前日読売新聞の記者から私がうけた電話取材に基づいたコメントが記されています。PFIについては、この手法から利益をえる企業体などが利点を広報するなどしていますが、課題を具体的に指摘する報道はまだ少ないのが残念です。

病院の民間活用破たん、近江八幡市が契約を解除へ

 滋賀県近江八幡市は17日、公共施設の運営などに民間資本を活用するPFI方式を導入している市立総合医療センターについて、経営悪化に陥ったため、ゼネコン大手・大林組が100%出資するセンター運営の特別目的会社(SPC)と、解決金20億円を支払って契約を解除することで合意したと発表した。PFI方式による病院事業の破綻(はたん)は全国初めて。公立病院の経営が厳しさを増す中、コスト削減策としてPFI方式に注目する自治体も少なくなく、影響を与えそうだ。

 市は、旧市民病院の老朽化に伴い、SPCと30年間で建設費や運営費など計682億円を支払う契約を結び、2006年10月にセンターを開院した。

 当初、PFI方式の導入で、市直営より30年間で68億円の経費削減になるとしていたが、医療制度改革による診療報酬の伸び悩みなどで、年間100億円と見込んでいた医業収益が07年度は84億円にとどまった。同年度は27億円の赤字を計上し、08年度も9億円の赤字が見込まれている。

 試算では、直営に戻した場合、PFI方式を継続するより約113億円節約できるという。

 解決金の内訳は、SPCへの逸失利益補償8億9500万円、センターの運営に携わっている受託企業の解約補償2億2500万円など。また、118億円の病院事業債を起債し、SPCが所有する病院施設を一括購入する。18日の市議会に関連議案を提案し、可決されれば、センターは来年度から市直営に移行する。

 冨士谷英正市長は記者会見し、2年半での契約解除について、「最大の原因は収支の見通しの甘さだった。今後、しっかりした病院経営をしたい」と話した。

 長瀬啓介・金沢大教授(医療経営学)の話「短期間で変更される医療制度などに即応できないと病院経営は安定しない。先進国の英国でも、多くの失敗を重ねて制度を作り上げており、安易にPFIを導入しようとしている他の自治体への警鐘となるだろう」

 PFI方式 民間資本を活用した社会資本(基盤)の整備を意味する「プライベート・ファイナンス・イニシアチブ」の略。民間手法を導入して無駄を省き、サービスも向上させるのが狙い。病院事業では9月末現在、高知市の高知医療センター、大阪府八尾市立病院など計12か所で実施・計画中。

(2008年12月18日  読売新聞)

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共同通信の取材に応えて

 近江八幡市で病院PFI契約の解除に向けた動きが明確になるに従い、報道機関から取材が増えています。多くの場合、問いは「PFIは病院事業に不適切なのか」という趣旨です。私の答えは、一般受けするものではないかもしれません。しかし、記者の取材に問題の所在を出来るだけ正確に伝えたいと考えています。
 以下の共同新聞のコメントと共に報じられた近江八幡市関係者のコメントに、BOT方式を取ることによる固定資産税負担が発生する問題が挙げられています。しかし、固定資産税の問題に限らず、どのようなコストが発生するのか、そのコストと収益との関係を当たり前に分析する能力が経営する人に必要であることは言うまでもありません。

病院PFIの事業予測困難
2008.12.01 共同通信 

長瀬啓介(ながせ・けいすけ)金沢大教授(医療経営学)の話 PFIは資金調達の一つの手法だが、必ずしも成功するわけではない。

病院経営は、医療制度の変化があまりに大きいため長期間の事業予測が難しい。しかし、自治体側にその事業を行うだけの十分なスキル(手腕)がないのが現状だ。

病院のPFIで先行している英国でも同じような結果になっている。経験を積み重ねて経営の予測能力を高めることが必要だ。

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朝日新聞の取材に応えて

近江八幡市立総合医療センターの事業に関し、報道機関から取材を受けることがしばしばあります。1月22日に朝日新聞に掲載されたコメントはそのような中の一つです。

記者には、このコメントとして取り上げられている部分だけではない、複数の要素がいかに関与しているのかを説明して来ました。多少は記者の方の理解の役にたったのでしょうか?

風前 病院PFI 民活で効率化のはずが大赤字 第一号で契約解除案
2008年1月22日【朝日新聞】

 民間の資金と知恵を社会資本の整備に役立てようと始まったPFIが、病院事業で苦境に立っている。滋賀県近江八幡市では21日、全国初めて設計から運営までPFI方式で実施した病院経営をめぐって、「契約解除」案が浮上。病院では初事業だった高知市でも、契約解除の言葉が飛び交う。導入から8年余り。国も事業の透明性が必要だとし、改善に乗り出す。
(日比野容子、中川壮、浜田陽太郎)

 「PFIという外国の呪文を前に、近江商人のそろばんを忘れた」
 経営の行き詰まりが明らかになった近江八幡市立総合医療センターについて検討委員会(長隆委員長)は21日、「契約の一部解除」も視野に入れた厳しい「提言」を市長に答申。PFIを導入した市の姿勢を批判した。
 同センターは、PFI方式により06年10月開業。大手ゼネコン大林組が出資した特別目的会社(SPC)が病院を建設、所有する。医療以外の給食や清掃などの業務を一括して、30年間の長期委託契約を結ぶことで効率化を進め、30年で計56億円のコスト削減が可能と試算。前市長時代の03年に契約された。
 問題は、足元の収支と資金繰りの悪化だ。医業収入の減少などで、実質的な初年度である07年度には、想定より10億円多い24億円の赤字を計上し、つなぎ資金8億円の一時借り入れを余儀なくされる。建て替え前の旧市民病院は30年間、黒字経営だった。
 提言は、PFI導入にあたって、事業計画そのものの制度が甘かったと指摘する。
 その象徴が、豪華な建物だ。吹き抜けの広々としたロビー。床はカーペット敷きで、壁は高級ホテルのような木目調。ベッド1床あたりの単価は約3千万円で、民間病院の2~3倍という。
 収入が落ち込む中、設備投資への支払いがかさんで手持ちの資金が枯渇。4~6年後には資金不足額が50億~70億円に膨らみ、近江八幡市は、北海道夕張市と同じように国からレッドカードを突きつけられる恐れがある……。提言が描く将来像は危機的だ。
 SPCへの不満もある。旧市民病院では各業務ごとを業者に直接委託し、要望も業者に直接伝えていたが、今はSPCを通して交渉する。病院側によると、まず要望内容が契約の範囲内かどうかの調整が必要で時間がかかるという。
 SPCの社長は検討委員会で、「業務内容に不満があれば、契約交渉することも可能」と述べた。だが委員の一人、京都大学医学部附属病院医療情報部の長瀬啓介准教授は「PFIだと契約は簡単には変更できない。臨機応変な対応が必要な病院経営にはなじみにくい」と話す。

高知でも不満噴出
 近江八幡より1年半早くPFI方式で開業した高知医療センターについても、不満の声が高まっている。同センターの06年度の赤字は22億円に迫り、経営計画より4億円以上多い。18日に開かれた高知県・高知市病院企業団議会議員協議会は、「契約解除も視野に入れる必要がある」と、県や市の議員からSPCへの厳しい批判が相次いだ。
 批判の矛先は、オリックスが構成団体のSPC。調達を担う材料費の医業収益に占める割合が、提案で示した数字を大きく上回っているためだ。
 「オリックスが契約をとるために、低めの数字を設定したならおかしな話だ」という声や、業務提案書の提出を求める声も上がった。
 県と市の議会も昨年12月、経営改善を求める決議を全会一致で可決した。

事業の透明化 国が勧告
 PFI事業は、バブル崩壊後の景気対策として橋本政権下で始まった。議員立法で推進法案が成立し、99年秋に施行。さらに「官から民へ」をスローガンにした小泉政権で導入件数が急増。内閣府によると、スポーツ施設や刑務所など、計画中を含めて約290件の事業が動いており、うち160余の事業でサービスの提供が始まっている。
 導入が進む背景には、国や自治体の財政難がある。PFI方式をとれば、公共サービスをより安く効率的に実現するというのが、売りだった。
 病院事業では開業ずみは3件。うち2件で契約見直しの動きが起きたことは、病院PFIの課題を浮き彫りにしている。
 一つは、公立病院の経営そのものの厳しさだ。医師不足や診療報酬の引き下げで、約千の自治体病院の収支は急速に悪化。総務省は昨年12月、公立病院の改革ガイドライン(指針)をつくり、各病院に「黒字達成」を求めた。
 国は自治体に対し、新たな財政健全化策を求めており、病院の赤字を自治体本体の赤字と連結した決算を対象にした「査定」を来年度から始める。自治体にとって、財政指標の改善は、今すぐ達成する必要がある。
 一方、PFI導入による財政的なメリットは30年など長期にわたる契約期間の終了後に判明する。そんな長期のメリットより、赤字団体への転落を免れるには、「目の前の赤字改善の方が先」という懐事情が、自治体の姿勢を左右する。
 二つ目の課題は、事業の発注元と市のSPCとの関係だ。
 清掃や給食など外部委託が可能な業務について、SPCが一括して受注すれば、それまでの業者別の契約に比べてコストが削減でき、経営が効率化できる、というのが病院PFIの理念だ。
 だが、近江八幡市では「業者との個別契約の方が、要望を直接伝えられて効率的」との声が上がった。高知でも、自ら提案した仕事の水準を満たせないSPCへの不満が出ている。公共事業アドバイザーの熊谷弘志さんは、「PFIでは、自治体が通常の記載で調達するより高い金利の民間資金を使う。その差額を上回るメリットがないと、税金の無駄遣いになる」と話す。
 総務省行政評価局が今月11日に発表した政策評価では、調査した146事業のうち、コスト削減の根拠を公表していたのはわずか1件。「事業の客観性・透明性が必要」と勧告した。内閣府は今夏にも、導入する際のモデルとして、契約書の手本や解説を示す予定だ。

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